山口弥華「uzu -引き込まれる広場-」
https://gyazo.com/4a0c71d8ff158a561ce383c6d227e61f
地域に根付く子ども食堂にするべく、地域との連続性や密着性に重点を置き設計に至った。
子ども食堂の利用が夕方~夜であることや現在の子ども食堂の社会的イメージ、また既存の羽根木公園の雰囲気から本作品のコンセプトは「物理的にも精神的にも明るい空間」になるよう目指した。
https://gyazo.com/b55ccf24fd67eeb619f531528333fc57
タイトルにもある本作品を表す「渦」の形状は、羽根木公園内の道や公園周辺の道路から人を引き込む流れを生み出し、地域の道あるいは公園の一部として振舞うことで人目を増やし、子ども食堂の安全性の向上と地域に開けた空間を目指した。
〈3つのアプローチ〉
現地調査や子ども食堂の調査から、子ども食堂の提案に至るまで次の3つアプローチを考えた。
ApproachⅠ. 孤独を感じさせない空間にする
https://gyazo.com/74e98def9fa5d18e95fa5e60d3a5594f
角や隅のある空間では孤立しやすくなってしまう。プラン全体を曲線的な流れにし、端を無くし求心性のある空間にすることで子どもの孤立を防ぐ。また中央に自然と目線が集まるよう仕掛け、大人の目が子どもの居場所に行き届くようにした。
ApproachⅡ. 羽根木公園との連続性を損なわないようにする
https://gyazo.com/eef443b6a87288216a61a833454412b7
羽根木公園の園内は統一して連続する樹木によって緩やかに道が二手に分かれている。樹木による緩い境界線を空間にも引き継ぎ、園内の道との連続性を持たせた。樹木は柱に、木々の広がった枝葉を天井で表現し、床のレベルに高低差を付けることで道や空を二つに分け、空間にコントラスト生み出した。
ApproachⅢ. 夕方~夜の明るさを確保する
https://gyazo.com/aa84e9b738e27bdf458b1531dc924e18
羽根木公園は木が多く枝葉が広がっているため、日没後は園内の外灯に影ができてしまい全体的に暗い。建築自体を一つの照明として捉え、照明家具の傘のように窓からの光を天井や軒部分に反射させることで空間の外にも意図的に光が漏れるようにデザインした。
https://gyazo.com/3d5e706052e3a3ea19154b4e7ab493c7
図面左の空間がメインとなる子ども食堂。図面右の空間は自習や談話などをする多目的スペース。
https://gyazo.com/0ebc1f0a6d18d7a7c0bd64a6225b17ca
https://gyazo.com/3919a150688bf2d926354003b91290ff
https://gyazo.com/d401fc0d07770e23120ffa63d80110ce
https://gyazo.com/84d711fcdb2a5aeeaa163ba1c66dd13f
南北に緩やかな勾配のある土地の条件を利用し、全面スロープで通り抜けができる動線を作ることでバリアフリーも考慮しつつ、レベル差の異なる通路が隣り合う空間が生まれることで、休息場としての利用や子どもの遊びのきっかけになることが期待できる。
https://gyazo.com/380137a45ae7a4a7ca096f25f4df7228☝北側入り口
https://gyazo.com/e7e0964238c4247776dd56dfb2c10c90☝公園入口からの様子
https://gyazo.com/492b56128877dc584686092cecd53f55☝東側入り口
https://gyazo.com/132a25aeabf066ff77943193bded3951☝子ども食堂内観
https://gyazo.com/b57a44df4a59ac50ddfa2c6a1bd4b244☝公園入口から多目的スペースの様子
講評: 綿密なリサーチから導き出された、渦というシンプルなモチーフ。敷地と道路に1mほどの高低差があることから、敷地全体を傾斜させて、両者をスムーズに結ぶ。傾斜した床は公園の園路と同じ真砂土が敷きつめられている。一方、水平のコンクリートの床には緩やかにうねる勾配屋根がかかり、建築空間が計画さている。両者は、渦状に混ぜ合わされることで、人々を自然に引き寄せる。連続的に様々なレベル差を持った場ではどんな活動が繰り広げられるのだろうか。そこを造りこみすぎないのも良いと思った。模型表現も美しく、体験してみたいと思わせる魅力がある。(倉本)
KENCHIKU SHUKAN EXHIBITION 2021